2014年4月8日火曜日

実録 宮城県警 救急機動隊 ユアスタ前分室 室長弥生真一の憂鬱


この物語は、ベガルタがホームスタジアムとしているユアスタ前にある宮城県警の救急機動隊ユアスタ前分室で日夜頑張っている隊員のドキュメントである。

宮城県警 救急機動隊ユアスタ前分室が設置されたのは9年前。当時のベガルタはJ2へ降格していた。J2では、上位クラスの資金力と圧倒的なサポーター数で常に昇格候補の一角を担ってはいたのだが、毎年のように監督や主力選手が代わり、結果として4~7位という、サポーターとしてはストレスが溜まるシーズンを過ごす。
 すると、一部の過激なサポーターは、問答無用の実力行使でチームを鼓舞しようと画策。試合で負けたら、選手もキレてしまう程の厳しく汚いブーイングの嵐を浴びせ(大柴)、試合後にはチームバスを取り囲んで責任追及のシュプレヒコール、それでも駄目なら試合が終了してもスタジアムに居座る・・・。この頃のユアスタ周辺は治安が悪く、宮城県警救急機動隊へも苦情や出動要請への電話がひっきりなしで鳴っていた。

宮城県警 救急機動隊ユアスタ前分室 室長の弥生真一は、当時をこう振り返る・・・。

「あの頃は、とにかく大変で忙しかったです。選手たちのバスが暴徒に囲まれれば出動。あまりの悲惨な内容に、スタジアム内で倒れる人が多くなれば救急隊の出動。スタジアムに暴徒が居座れば、室内に所属している交渉人の出動。普段は何て事の無い平和な分室なんですが、試合が行われる週末は常に緊張感が漂っていましたね。通常、緊急コールは110番なんですが、ベガルタに関する緊急コールは1999番なんですよ。
 ベガルタの試合を見て体調が悪くなったら、サポーターは110番ではなく1999番。ベガサポが暴徒化して困ったら1999番。とにかく、ベガルタに関する要請や苦情は全て宮城県警 救急機動隊ユアスタ前分室へとダイレクトに繋がりますので、チームが厳しい戦いをしている時は、我々が出動する頻度も高くなりました。なので、たまに鹿島サポの友人たちと飲むと「いいよなぁ~~、鹿島は3連覇して平和で・・」と愚痴った事を覚えています」

そんなユアスタ前分室ではあったが、ベガルタの監督に手倉森が就任すると、成績が上昇トレンドへと推移し、あれほど暴れまくった暴徒も壊滅、信じられないくらい平和になっていた。そこで宮城県は、震災関連に多額の予算が必要となるので「宮城県警 救急機動隊ユアスタ前分室の役割の終了」を画策していたのだが、時代は再び宮城県警 救急機動隊ユアスタ前分室を必要としていたのだった・・・。

トルルル・トルルル
―はい、こちらは救急機動隊ユアスタ前分室、どうしましたか?
「ああ、大至急アーノルド監督と話しがしたい」

―何を話したいのでしょうか?
「日本で引っ越しシーズンは4月までだ。早急にオズへ帰れと進言する」

―今彼を解雇すれば、多額の違約金が発生する可能性もありますが?
「ベガサポ1万人で300円くらい募金すれば大丈夫だろう?」

そんな対応をしていると、別の電話が鳴った

トルルル・トルルル
―こちらは宮城県警 救急機動隊ユアスタ前分室、何か犯罪がありましたか?
「犯罪も犯罪、犯人はアーノルドとベガルタの選手たち。奴らのおかげで家族全員が不整脈になっちまったよ」

―「救急車の手配は必要でしょうか?」
「そんなのは要らね―から、早くアーノルドを解任してくれ」

―もう少し我慢できませんか?」
「お前、俺たちに死ねっていうのか?」

―冷静になってください。ワールドカップ中断期までにはチームも上向くと思います。
「チームが上向くより先に、こっちが、あの世行きだ!!」

そんな切実な会話をしていると、また電話が鳴った

―こちらは宮城県警 救急機動隊ユアスタ前分室、どうしましたか?
「今、埼スタで応援しているんだが、試合中なのに応援断幕を外そうとしているんだ。あれを何とか実力で止めさせて欲しい」

―埼スタは我々の活動範囲外で不可能です
「何を言ってるんだ!!俺たちのプライドでもある弾幕が試合中に外されようとしているんだぞ!!もっと言えば、太鼓は叩くのを放棄してるし、応援もボロボロっていうか、殆ど白けてるし、もう駄目だ、助けてくれ!!」

―落ちついてください。こちらから、応援を指導しているCLたちのツイッターやラインで、応援要請の継続をお願いしてみますから」
「いや、そんな要請なんて要らねーよ!!俺が欲しいのは要請ではなく、勝ち点3だけだ!!」

次々と掛かってくる苦情や出動要請の電話。その様子をデスクに深く腰掛け、憂慮している弥生真一が居た。その弥生が、ポツリと呟く。「暫く続いた平和な日々も、ここまでのようだな・・・」

宮城県警 救急機動隊ユアスタ前分室 室長の弥生真一。彼の前には、どんな苦難が待ち受けているのであろうか?このまま、ベガルタの苦しい状況が続けば、この書き込みはシリーズ化する予定である。可能であれば、シリーズ化したくはありませんな。

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