2014年4月11日金曜日

社長退任と監督解任に想う


先日、どこかのメディアで「白幡社長は今月、任期満了で退任する」という事を知りました。そん時は「へぇ~~、そうなんだ、よく頑張ってくれたよ・・」という簡単な想いしかありませんでしたが、そんな時に「監督解任!!」というニュースが飛び込んできて、さー大変。この瞬間、ベガルタンは自身の会社で体験した事が走馬灯のように頭の中でグルグル回ったのです・・・。

社長は監督解任に関するコメントで

「結論として、現在のチームの状況を変えるためには、小手先の対応ではなく大きなカンフル剤的な処方が必要だろう、ここで一度原点に戻って、選手に今一度躍動感のある姿をピッチで表現してもらうためには、監督交代というカードを切るしかないということになりました。続投、交代のどちらを選択してもリスクは伴うわけですが、今回は交代という選択肢を採り、アーノルド監督には退任してもらうことになりました」と語っています。

つまり、企業として最大のリスク(もちろん、何もしないという戦略もリスクです)と、なり得る選択をした者は、今月一杯で退任する白幡社長だった・・・ということがベガルタンの考える最大のポイントなのです。アーノルドを、監督として迎え入れる事を決定した最終的な責任者は社長のはずです。だからこそ、辞めると分かっているんだけど「最後の尻拭いは自分でやらなんとな・・」という考えがあったのかもしれませんな。もっとも、このまま静観して4月末で円満退任・・という選択肢はあったはずです。このリスクを自らの責任において(今は社長だからね)取ったせいで、降格と言う最悪な事態になるかもしれない。それならば、「ここはもうしばらく様子を見よう・・」と考えても不思議はないでしょう。しかし、彼はそうはしなかった。この最大のリスクを、自らの責任で取りに行ったのです。

リーマンショック時、ベガルタンの仙台支店も大変でした。最初は「うちは関係ないよな・・・」って思っていたんだけど、物凄いスピードで「あの会社がダメになって⇒その会社と取引がある会社が連鎖で苦しくなって⇒そう思ったら、この会社に納入していた会社の業績が悪くなって⇒その会社と多くの会社が連携してたもんだから⇒知らないうちに自分たちの関連会社がドドドォーーンと業績が悪くなった・・・」という経験をしました。

その時、当時支店長だった人から、仙台支店の数名が飲みに誘われ。ある重大な事を告げられたのです・・・

「いいか、俺は中間期決算が終わる9月で退社する事にした。あと2年くらいは働こうと思ったが、カミさんの介護もしなきゃならないし、この業績では本社に、いい訳なんか出来ないからな。ちょうどいい、潮時なんだな。そこでだ、今、お前たちが持っている不良案件、不良債権、何らかのトラブル、それら全てを俺に打ち明けてくれ。いいか、全て、全てだ。そして、その全ての責任を俺が持つ。全ての悪人は俺ということにしろ。どうせ辞めるんだから、何を言われてもいい。お前たちは、俺の代わり赴任した支店長から「この不良案件を説明しろ」と言われたら、俺の性にすればいいんだ。今期の数字はどう考えてもガタガタだ。この責任は俺が取るしかない。だとしたら、この際、仙台支店の膿は出し切っておいた方がいいだろ?」

この話を聞いた時、ベガルタン達は「何を言っているんですか?自分たちにも責任はあります。それを支店長1人に・・・」と反対しました。しかし支店長は一切聞かず「膿を出し切るのは今しかない」の一点ばり。結局、支店長は9月一杯で退任し、郷里の新潟へ帰って行きました。

今回の白幡社長がリスクを取った判断をしたのも、結局は「今後も残る部下たちに責任を被せたくないから・・・」という考えがあったのではないでしょうか?来月から、新しく社長になる人の最初の仕事が「監督解任!!」では荷が重すぎます。また、強化部やスタッフたちに、やり残した『置き土産』が「監督解任!!」では可哀想と考える事に整合性はあるでしょう。だとしたら、自分が居る間に、この問題に決着をつけたい・・・例え、最悪の結果となっても、責任は決断した自分にあるんだから・・・。

ある意味、白幡社長と手倉森監督の6年は素晴らしい歳月でした。しかし、チームは間違いなく変革の時期に差し掛かっています。今現在、すぐに有能な選手を獲得出来るとは思えないので、どう考えても現有戦力で戦うしかありません。渡邊コーチの監督就任は、リスクを最小限に抑える最も有効な選択でしょうな。

後日、元支店長の奥さんが亡くなった時、仙台支店の多くの者が新潟の葬儀場へ参列しました。こんなにも多くの仙台支店の人間が参列するとは思っていなかったので、元支店長は「こんなに来る事はないだろう、仕事だって忙しいのに・・」と呆れ顔。しかし、その時ベガルタンはこう言いました。

「誰も強制はしておりません。支店長は私たちに『人間が感謝の意や尊敬の念を表すのに、言葉は不要だ』と、よく仰っていました。今回の行動は、支店長の教え通りの結果ではないでしょうか?」

その言葉を聞いて、支店長は号泣。その支店長を取り囲むように、我々も号泣。

ベガルタの社長と社員たちの関係が、仙台支店長とベガルタンたちと同じように良好かどうかは知る由もありません。しかし、今回の決断は、間違いなく来月から赴任する新監督に対する配慮も多少はあったのではないか?とベガルタンは考えています。このリスクを取った判断が、どうなるかは年末まで待たねばなりませんが、可能であれば、ハッピ―エンドで終わって欲しいところです。

0 件のコメント:

コメントを投稿