2013年6月14日金曜日

2ステージ制を満足度ランキングとリンクさせ考える

チョット前に、ネットでJ1総合満足度ランキングなる者がある事を知った。これは慶大理工学部の鈴木秀男教授が、「プロ野球のサービスに関する調査」(9日付け本紙掲載)と並行し、昨年から実施している「Jリーグクラブのサービスに関する満足度調査」なるものであります。そのデータに、観客数の増減を加味して、仕事中ではありますが、これまた既成事実化されようとしている「来季からの2ステージ制を復活」をリンクして考えてみますかな。まず、議論の前提となるべきデータは、こんな感じです・・・。

満足度ランキング

1位・仙台    10位・F東京
2位・鳥栖    11位・名古屋
3位・広島    12位・磐田
4位・浦和    13位・大宮
5位・柏     14位・横浜M
6位・鹿島    15位・新潟
7位・C大阪   16位・G大阪
8位・川崎    17位・神戸
9位・清水    18位・札幌
となります。何気に仙台が1位ですか・・・悪い気はしません。これまた何気ですが、実際の1~4位の順位、そして16位~18位の順位との満足度ランキングの順位も略同じというところも興味深いところです。これだけを見たら「順位が良ければサポーターは満足し、悪いと不満足になる傾向が顕著だ。よって、最終的な満足度は、チームの試合内容やサービス内容には大きく影響されず、試合結果と順位が最大の関心事である可能性が高い」という推論が成り立ちます。誰しも、システム・戦術・戦略を駆使し、華麗なるパスワークで相手ディフェンダーを切り裂き、怒涛のようなゴールラッシュ!!が理想であります。どのチームもバルサやマンUやバイエルンのようなチームを目指しているのでしょうが、その理想と現実の狭間で多くのチームが苦しんでおり、その苦しみから逃れる術を模索しているのでしょう。例え、答えなど永久に出ないと分かっていても・・・。プロもサポも結果が全て・・・まあ、そうなんでしょうな。

次は、それぞれのチームの平均観客数と観客数の増減(対前年比)のデータを、上記のデータに加えます。
1位・仙台(14,135人 -15%)  10位・F東京(22,674人  -5%)
2位・鳥栖(10,005人 -17%)  11位・名古屋(14,867人 -13%)
3位・広島(14,137人 -20%)  12位・磐田(9,506人   -28%)
4位・浦和(36,003人   2%)  13位・大宮(11,762人   11%)
5位・柏 (13,985人   2%)  14位・横浜M(25,952人  13%)
6位・鹿島(13,376人   0%)  15位・新潟(25,868人    3%)
7位・C大阪(16,948人  0%)  16位・G大阪(12,427人 -16%)
8位・川崎(15,857人 -11%)  17位・神戸(11,054人  -24%)
9位・清水(14,406人  -5%)  18位・札幌(10,271人  -14%)

ふむふむ、これは露骨ですなぁ~~、大宮や横浜などの上位チームが大幅に増加しており、神戸やガンバや札幌はJ2なのでしょうがないとしても大幅に減少・・・分かりやすいと言えば分かりやすいデータです。それと、鳥栖・仙台・磐田・名古屋などの減少は、チームの成績からも妥当なんでしょうな。ただ、磐田の-28%は異常です。ベガルタン的には、「サッカー王国と言われたことがある地域のサポーターなんだから、きっと、個々のサポートも、チームの成績などには関係なく、熱く・ブレ無いモノなんだろうなぁ~~」と思っていましたが、どうやらそれは勘違いでした。王国と呼ばれた事がある地域のサポーターであれ、一時代を作った栄光あるチームのサポーターであれ、結局は「強いから、勝つから好きだった・・・観に行った・・・弱いチームにゃ興味なし!!」のでしょうな。負け続けるチームには興味が無くなることを、これらのデータは如実に語っています。それと、広島サポは燃えつきたのでしょうか?今の順位とは明らかに反比例している観客数の現実を踏まえれば、どう考えてもバーンアウトというワードしか思い浮かびません。

仙台もそうですが、多くのチームで「観客数の減少」に頭を痛めています。当然、その悩みはリーグも共有しており、何とかしなきゃダメだ・・・という議論の末に打ち出した解答が「来季からの2ステージ制を復活」なのでしょうな。スポニチによれば・・・

Jリーグは来季から2ステージ制を復活させる方針であることが判明した。観客動員数低下に危機感を持つJリーグは04年以来となる2ステージ制を起爆剤とする構え。前期と後期の王者によるチャンピオンシップを復活させ新たな冠スポンサーの獲得、地上波の放映権料などで収入増を図る。収入は各クラブへ分配されるという。だが浦和など一部クラブは断固反対の姿勢。欧州主要リーグは1シーズン制が主流。関係者によればサポーターは7対3で反対が多数を占める・・・ということでした。

メリットよりも、デメリットの方が目立つ場合が出て来た経緯で廃止した「シーズン2ステージ制」をリーグが推進しようとする理由と、多くのチームが観客動員数で苦戦している事象とを結びつけるのは極めて自然です。これらの事象を克服する王道は、誰が考えても「各チームが今よりも切磋琢磨し、己のチーム力を上げ、高いレベルで優勝争い(ACL出場権争い、もしくは残留争い)を数多くのチームで競うこと・・・」であるはずですが、これらは全て理想論なのでしょうな。結果として、観客数増加の処方箋(アイデア)の数は少なく、何もやらないよりは・・・何も行動を起こさないよりは・・・そんでもって現状維持よりはいいだろう・・・という理論の元、Jリーグは来季から2ステージ制を採用するようです。優勝争いを意図的に多く作れるし、メディアにも取り上げられるし、実力が劣るチームでも17試合という短期決戦だからひょっとしたら・・。この“毒リンゴ(毒かどうかはデメリットをどう考えるかによる)”の魔力は強烈ですな。

いくら観客数減少の処方箋が無いとは言え、ここで問題なのは“2シーズン制”はリーグを活況させる王道ではないと言うことです。観客数の減少は、貧乏チームにとって死活問題であり、リーグとしても“何らかの手”は打たねばなりません。しかし、目の前の果実(2ステージ制のメリット)にばかり目が行ってしまうと、真の意味でJリーグが盛り上がる事はないはずです。意図的に優勝争いを数多く作る、それをメディアが取り上げる、結果として観客数の増加が見込める・・・。確かに、そうかもしれません。ただし、その為には数多く指摘されているデメリットも受け入れねばなりません。そのデメリットが大き過ぎると考えているので、ベガルタンは2ステージ制に反対であります。

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