2013年3月5日火曜日

甲府戦で思った事

リャンは試合後、先制したシーンの事を尋ねられると「広大がしっかり合わせてくれたと思いますし、なかなかチームの状態が良くない中でセットプレーから取れたのは良かったと思います」とコメントしています。そして富田も試合後は「自分を含めてみんな、まだまだ判断のスピードを上げていかなければいけません」と反省したかのようなコメントをしていました。ここからも、仙台にとって甲府との引き分けは「負けに等しいもの」である事が分かります。怪我人が多いのはお互い様であり、引き分けの理由を“そこ”に求めているようでは、リーグとACLを同時並行で戦う資格などありません。甲府との試合で苦しんだのは、純粋に「連係や現在のチーム力が足らなかった」だと思っています。現状の仙台の力は、甲府戦で我々に示されました。この試合を見る限り、毎年のようにチームを熟成させながらスタートダッシュをしてきた仙台ですが、今年に限っては“それ”を求めるのは酷なようです。

仙台の先制はCKから。流れの中からゴールする匂いが全く無かった中で、このゴールは嬉しかったというよりも、ホッとした・・・と言う感じでしたな。さりとて、このゴールで「勝ったな・・」といった思いなどは微塵もなく、「ここからは2点目を獲れるかどうかが、この試合のポイントかもね」と思っていた事は事実です。ブリーラム戦でもそうでしたが、今の仙台には流れの中からゴールをゲットする匂いはありません。そんな中、ブリーラム戦でも甲府戦でもセットプレーから先制出来ました。リャンじゃなくても「チームの状態が良くない中でセットプレーから取れたのは良かった」と思うのは当然です。もしも本当に仙台が強いのなら、ブリーラムにも甲府にも勝っていたでしょう。でも勝ちきれなかった・・・。昨年までなら我慢して、我慢して、無失点に抑え、何とかセットプレーを物にして勝ちきるのが仙台のサッカーでした。しかしながら今年の仙台は、中々我慢できない・・・。この事象だけを考慮しても「今年は厳しいシーズンとなりそうだよ」と思う事に若干の整合性が見えてきますな。

手倉森監督は「誰が出てもやれなければならないし、その準備は常にして来た」と語っていましたが、試合後のコメントでは「ここに来るまでに富田と角田で準備してきた分、昨日に急遽松下に変わったというところを見たときに、ゲームの中でしっかり修正しながら90分進んでいったと思いますから、誰が出てもやれる状態というのは、もっと詰めていかないといけないと思います」と語っていました。ここからも、上手くいかなかった要因の一つが「角田⇒松下」への変更であることを暗示しています。松下が悪いと言う訳ではなく、試合前日練習での怪我というアクシデントで、「角田⇒松下」へチェンジする事によって生じる「チーム内のメンタル的、戦術的な化学変化」を、チームとして半日で上手く消化する事は出来なかった・・・ということだったのでしょう。これが1週間前から「富田・松下で行く!!」って決まって居れば、チームとしてのオーガナイズもシフトチェンジも、もっとスムーズだったと思うけど、その時間が無かった事は不運としか言いようがありませんな。

角田の離脱は不運ですが、悪い事ばかりではありません。菅井や大海などの離脱が無ければ、蜂須賀の出番は無かったでしょうし、柳沢やヘベルチの離脱が無ければ奥埜のベンチもなかったでしょう。チームにとって不運な事でも、彼らにとってはチャンス以外の何物でもなく、この試合に出る・出ないに関わらず、彼らの経験値は間違いなく上がりました。そしてその経験値は、今後のベガルタ躍進にとって必要不可欠なものになると信じています。

残り10分を切った辺りからは、かなりオープンな展開になり、仙台からすれば「それは決めてくれょぉ~~」と言うシーンは何度かありました。ベガサポからすれば「何で決められないんだ?」と言う事になるのでしょうが、甲府からすれば「よく頑張った!!」という結論になります。私たちも昇格した当時は「アウエーで鹿島やガンバ相手に分けなら十分だよ」と言う思いがありました。昇格チームとしたら、前年に優勝争いをしたチームとの対戦では「ボールを持たれる時間は多いだろうし、しっかり守って数少ないチャンスを狙いつつ、勝てないまでも分けならOK!!」全然OK!!」というイメージで試合に臨んでいたような気がします。その意味では、甲府サイドからすれば引き分けと言う結果は悪くないはずですな。

ここ2年の実績と言うか結果によって、仙台の立場は少しずつ変化しています。一昨年は4位、そして昨年は2位と来た場合、「今年の目標はトップ10には入れれば・・・」という安価な設定にする事はあり得ません。結果を残す事によって、自然とサポーターや他チームから“ベガルタ仙台”というチームに対する見方や求める評価のハードルが上がってしまったのです。仙台は決してビッククラブではないから、毎年コンスタントに結果を残すのは厳しい・・・という事はベガサポならば誰でも知っていることなんだけど、昨年の2位という結果が、中途半端な目標設定を困難にしているという現実があります。その“現実”と、リーグ戦・ACLとの同時並行している戦いで好成績を残したいという“理想”の二兎を追うのが今年の仙台です。困難なミッションと分かっていても、そこにチャレンジする事を決めたのが今年の仙台です。だとしたら、チームや選手に対して過度にネガティブになる事はせず、大きく温かい気持ちでチームを応援し続ける姿勢は肝要ですな。引き分けになった試合で、ベガルタンはこんな事を考えていました。

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