2012年8月20日月曜日

柏戦に想う


えーと、勝てませんでしたな。しかし、内容的には「まずまずのような・・・」という気がしてならないベガルタンです。中盤からのプレッシングも後半戦最高のアグレッシブさで、何気に強かった頃の仙台サッカーの片鱗が見られました。上本が復帰して以降、素人目にも最終ラインは明らかに高くなり、見ていて楽しい時間が増えるようになりました。そして角田の復帰により、確実にセンターラインの守備に安定感が見られました。なにより、なによりです。しかしながら、最終ラインが高くなると言う事は、何らかのミスにより簡単に裏を取られる場合があり、前半開始早々の工藤や、後半に訪れたネットバイアーノとの1対1の場面のようにリスクが高いことを忘れてはなりません。


柏は良いチームですな。かたくなに、そしてひたむきに「パス&ゴ―」を繰り返す。キーパーからパスを繋いで、チーム全体で攻める・・・好感が持てます。何気に決定機の数は柏の方が多かったような気もしますが、どんまい、どんまいだ。

昨年までなら絶対にあんな事は無かったはずです。しかし、今年はある・・・。昨年までの仙台が幼虫ならば、今年は蛹(さなぎ)となって羽化しようとするはず、でも、本当に羽化できるかどうかは、当面の成果に影響されず、現在のシステムや戦術を貫き通し、尚且つ最終的には結果を出せるかどうかにかかっています。例え、終盤戦に厳しい状況になろうとも「結果だけを考えてドン引き」することはせず、今年のキャンプから取り組んでいる「ラインを高く設定し、攻撃的な守備から」という戦術をブレずにやり続ける・・・。チームが目指している成果は、そのブレずにやり続けた先にしかないと信じています。今後もアクシデントで1対1の局面は出てくるでしょう。先制される場面も出てくるはずです。しかしながら、これらのアクシデントによる痛みは「成長痛」みたいなものであり、チームが強くなる過程では必ず起こるものです。その痛みに我慢できなければ、サポーターなんて務まるはずも有りません。まず、我々サポーターが出来ることと言えば、どんな結果になろうとも、我慢することでしょうな。

私の住処はSバックなんですが、私の周りの人たちはピンチに寛容ではありません。「なんでキーパーと1対1になんのや!!」「そんな危険なところでパス回すな!!」「どうして戻ってこないんだ!!」等々、どうしてそのような局面になってしまったか?という考察よりも、今現在のピンチの局面を罵倒する事に必死です。大きくクリアーすれば・・・ラインを高くしなければ・・・パスを細かくつながなければ・・・。彼らの思いは「ゴールする・ゴールされる」といった明確な局面が全てであり、そこに至るまでの過程で「どうしてそうなったのか?」にスポットが当たる事などなく、そんな彼らを見ていると「楽しむ為のスキル」について考えざるを得なくなりますな。

サポーターにとって最大の醍醐味はチームが勝利し、タイトルを取ることに論はありません。プロである以上、結果が何よりも大切であり、その為にゴールシーン(失点シーン)は選手にとってもサポーターにとっても、最大の「見せ場」であるはずです。やっぱ、なんのかんの言ってもゴールシーンは興奮するよね。しかし、その局面のみに固執してしまうと、それ以外の大切なファクターがボヤけてしまうから厄介です。前半の工藤のピンチは、最終ラインが揃っておらず、それに気づいた鎌田がラインを修正しようと上がった瞬間を狙われたものです。このピンチは、昨年のようにドン引きならば有り得ませんでした。後半のネットバイアーノのピンチも、ハーフライン付近という昨年までなら考えられまないくらい高い位置でのボールロスから始まりました。

昨年までなら考えられない状況からのピンチ、そのピンチに私の周りの方々は非常に憤っています。最近、中々勝てなくなったことも、彼らの不満の元でしょう。そんな彼らにとって、目の前の結果に一喜一憂することこそが、サポーター冥利なのかもしれません。しかし、本当の楽しさというものは、結果に至るまでの過程や歴史、そしてそれまでの経緯や、これから目指す方向性をチームとシンクロした場合にのみ、得られるような物だと考えています。ネットバイアーノのピンチの時に「うんうん、いいよ、目指しているものがあるんだから・・・」とはなりませんが、それでも、そう考えることによって、「我慢」が出来ます。結果が一番大切なのは分かっています。しかしながら、結果のみを追い求めた行き先を、彼らが思い描いた事はありません。

私の3列前の紳士が、試合終了後に「勝てねーくせに、ニヤけんな!!」と選手たちを罵倒しました。私は、試合で勝てない事よりも、このような罵声に哀しくなり、心の中で「確かに勝てなかったけど、内容的にはここ数試合で一番じゃないのか・・・それが分からないのか???」と呟いていました。そこで改めて、サポーターとしてベガルタの試合を楽しむのにも「愉しむ為のスキル」が存在する事を確信しました。「愉しむ為のスキル」を会得するのは大変で、私もまだまだ道半ばであり、どうしたら会得できるかすら分かりません。しかし、チームが苦しい時に、その結果を選手と共に受け入れる覚悟が必要である事は分かっています。苦しい時に、チームを罵倒する・・・その心情は理解できますが、罵倒した先に答えが用意されている事はありません。苦しい時の答えは、その苦しさを共有して受け入れた者にしか分からないと信じています。

中々勝てませんが、この時期に2位という順位をキープしているのですから「ダメダメ」とはなりません。どちらかと言えば、よく頑張っている方でしょうな。だいたいにして、夏場に2位という順位なんですよ?もうこれ以上望んじゃ駄目です。チームは一杯、一杯で頑張っています。我々は、自らできる範囲でチームを応援するしかなく、そしてどんな結果でも受け入れる。選手を罵倒する方々は、この覚悟が無い人たちだと思っています。覚悟があれば、天国もよし、地獄も又よし・・・と思っているベガルタンです。

0 件のコメント:

コメントを投稿