2012年6月25日月曜日

浦和戦に想う

いやぁ~~、アリ地獄のようなチームでしたな、浦和は。守備モードに入ると自陣で隊列を整えてスペースを埋め、後は仙台が自ら待ちかまえるトラップへ落ちるのを待つ。中央付近ではノープレッシャーを貫き、サイドにボールが流れればプレッシングを開始、後は自然とトラップに掛かるのを待つ。ボランチやバックラインでボールを回されても知らん顔をし、レッズサポのブーイングと共に相手が焦れてアリ地獄へ落ちるのをひたすら待つ。そして見事にトラップへ引っ掛かればショートカウンターの開始。クサビへボールを繋ぎ、両サイドをワイドに使ってゴールに襲いかかる。それが不発に終わっても、後は何にも無かったかのようにアリ地獄ディフェンスを開始する。埼スタには、そんなアリ地獄が一杯いましたな。

この試合の評価を素人がするのは困難を極めます。当然、ホームの浦和は勝ちに来ているはずであり、その際における最良の方法が「オペレーションネーム・アリ地獄」だったはずです。別の作戦で勝つ確率が高いのであれば、「私はプロの監督です」と公言しているペトロピッチは何の躊躇なく、そちらの確率が高い戦略を採用しているでしょう。しかし、採用したのは「アリ地獄作戦」という現実が、ペトロピッチにとって「この試合における最良の作戦のはずだ」と判断した証左とも言えます。事実、レッズに「アリ地獄作戦、開始っ!!」を90分間された仙台は、殆ど何もできないまま、埼スタを去らざるを得ませんでした。この戦略や、この日の試合内容についての雑感は多種多様にあるとは思うけど「仙台に何もやらせない」という事象にフォーカスして、後は少ないかも知れないけど浦和が決定機を確実にものにすることで勝利する・・・という作戦は70%ほど上手く行ったはずです。あとの30%は勝てばクリアー出来ましたな。

私が東京で飲んだFC東京サポから「浦和はショートカウンターでガンガン来るよ。終盤は攻め合いになるだろうから、体力と言うか、ペース配分も重要になるかも・・」との情報を得ていましたが、そんな心配は杞憂に終わりましたな。手倉森監督も「浦和がホームで自陣で守備を固めることは、本当は想像していなかった。味スタでF東京とやったゲーム、スピーディで攻め合うのをイメージしていた」と試合後語っている通り、浦和が中央付近で「ノンプレッシャーゾーン」を徹底してくるとは思っていませんでした。あんだけノンプレッシャーだと、角田も富田も「あれ?来ないの?ボールはここだよ?来ないなら、バックパスの練習しちゃうよ?ホームなんだから来なきゃ駄目でしょう!!今来ないで何時やるの?今でしょう、今しかないでしょ?カモーーーン!!来てよ、お願いですから来てください!!」みたいな感じで戸惑っていました。まっ、浦和にとっては作戦成功でしたな。

試合中、ベガルタンはポゼッションという概念を、ひたすら考えていました。バルセロナは、圧倒的にボールを支配し、その過程で個々の選手がスキルと連係を駆使して相手ゴールへ襲いかかります。しかし仙台はと言えば、個のスキルも連係も、相手がしっかりとした陣形を組んで待ち構えた場合に崩すだけのレベルには達しておりません。せめて、ウイルソンと関口が居れば・・・とは思いますが、居ない選手の事を悔やむのは無駄な行為ですな。これまで、仙台は「堅守速攻」で成果を上げてきましたが、幸か不幸か成果がしっかりとした結果であがってくると、相手チームからリスペクトされる事が多くなり、今度は「ボールを持つ時間が増える」という事例が多くなりました。これは、多少ポゼッションされようとも、その事によってカウンターが効きやすくなる・・・という戦術を採用してきた仙台からすれば、180度くらい考え方や対処用法を変えねばならないと言うことです。

これまで仙台と戦ってきたチームからは「あんだけ引かれると厳しい・・」とか「引いて守られた場合にどうするかが課題だ・・」というコメントが多く聞かれました。「ドン引き」「カウンターとセットプレーだけのチーム」「全員で守るだけのチーム」仙台を揶揄する場合、「堅守」を比喩にしたものが多かったのですが、今年に限って言えば相手チームから、そのように揶揄されたことは一度もありません。これは成長と言えるかもしれませんが、成長したらしたで、今度は別の「成長痛」に悩まされる事になりました。その成長痛こそ「相手に引かれてスペースを埋められたらどうしよう症候群」であります。これは厄介です。最高のワクチンが「個の力でゴールを奪えるストライカーの加入」である事は分かっていますが、なにせ決定力があるストライカーというワクチンは高価すぎます。となると、次善の策として「自前の選手の育成」か「連係のさらなる強化」しかありません。どちらも即効性が無いだけに、この成長痛への対処は頭の痛いどころですな。

そんな事を考えていたら前半が終わりました。この続きはまた明日

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